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2026.02.11

自動車ディーラーと伝統の箒。「対極」をつなぐ、モノを慈しむ心

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「最先端のテクノロジーが詰まったクルマ」と「昔ながらの手仕事で編まれた箒(ほうき)」。一見すると、水と油のように接点のない両者です。しかし、この度Honda Cars神奈川北では、創業55周年を記念して、神奈川県の伝統的工芸品である「中津箒(株式会社まちづくり山上)」の取り扱いを開始することになりました。

効率化やデジタル化が進む現代において、なぜ私たちは今、あえて手間のかかる「手仕事の道具」をお客様にご提案するのか。その背景には、単なる商品販売の枠を超えた、両者に共通する「モノと向き合う深い思想」の共鳴がありました。

中津箒のつくり手(職人)である今井伸朋さんにじっくりとお話を伺い、その真意を紐解きます。

無印良品から職人の道へ。「直感」が選んだセカンドキャリア

今回お話を伺った今井さんは、最初から職人だったわけではありません。実は、約20年間にわたり「無印良品」で働いていたという、異色の経歴の持ち主です。

小売業の最前線で、工業製品としてのプロダクトデザインや、「感じ良いくらし」というコンセプトに触れ続けてきた今井さん。転機が訪れたのは、神奈川県内の店舗オープンの際、イベント出店者を探していた時でした。

「同じ神奈川県内で良いものはないか探していた時に、中津箒に出会いました。元々民芸が好きだったこともありますが、その佇まいを見た瞬間、一目惚れしてしまったんです」

それは、理屈やデータを越えた「直感」だったといいます。今井さんは、この出会いを機に、会社員として働きながら「つくり手」としての修行を開始。そして2年前、正式に転職し、職人としての人生を歩み始めたそうです。

なぜ、安定したキャリアを手放してまで、この世界に飛び込んだのか。今井さんは「直感」という言葉を大事にしているといいます。

「良い道具というのは、パッと見た瞬間に『いいな』と感じるオーラがあります。理屈抜きで直感的に『いい』と思ったものは、結果として道具としても優れているし、無駄がない。中津箒にはそれがあったんです」

マーケティングや数値的な裏付けが求められるビジネスの世界から、自身の感性を信じる手仕事の世界へ。その決断の裏には、揺るぎない「モノへの審美眼」がありました。

カーディーラーと中津箒をつなぐ想い

今回のコラボレーションは、弊社の代表・田渕が、百貨店の催事に出店していた中津箒の美しさに惹かれ、声をかけたことから始まりました。

しかし、今井さんにとって、自動車ディーラーからのオファーは当初「驚き」だったといいます。工業製品の極みであるクルマと、自然素材の箒。対極にある存在だからです。

しかし、今井さんが打ち合わせでHonda Cars 神奈川北に訪れた際に今回のオファーの真意を理解したといいます。

「お茶を出していただいた時、そのティーカップに目が止まりました。割れてしまった部分を漆と金で修復する『金継ぎ(きんつぎ)』が施されていたんです。カナキタさんは本当にモノを大事にする会社なんだな、と直感しました。クルマを長く大切に乗っていただきたいという想いと、箒を長く使ってほしいという僕たちの想い。扱っているものは真逆でも、その根底にある思想は同じだとわかったんです」

この「金継ぎのカップ」が象徴する精神性こそが、今回のコラボレーションをつないだ見えない糸でした。

「原点にして頂点」。機械化を拒む、中津箒の凄み

では、今井さんがそこまで惚れ込んだ「中津箒」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

今井さんは「日本一美しい箒だと思います」と断言します。しかし、その美しさは装飾的な意味ではありません。生活の道具として、掃き心地を追求した結果生まれた「機能美」です。

「新しい形の箒を作ろうという話が出ることもありますが、結局、今の形が最適解なんです。まさに『原点にして頂点』。無駄が一切ない作りをしています」

中津箒の最大の特徴は、素材であるホウキモロコシの栽培から製造までを一貫して行っていること。そして、徹底して「手仕事」にこだわっている点です。なぜ、機械化しないのでしょうか。

「手仕事のものには、唯一無二の『念』というか、魂のようなものがこもります。それは機械では絶対に出せないオーラです。それに、自然の草は一本一本太さもクセも違います。機械で無理やり揃えるのではなく、素材に合わせて人間が『適材適所』を見極めていく。だからこそ、使い心地の良い箒ができるんです」

素材に逆らわず、自然の恵みをそのまま活かす。その姿勢は、無理のない自然体な暮らしを求める現代人の心に、深く響くものがあります。

育てる道具。10年、20年と変化を楽しむ

私たちがこの箒をお客様におすすめしたい最大の理由は、クルマのメンテナンスと同様に、「愛用品を育てる喜び」があるからです。

使い捨ての掃除用具とは異なり、中津箒は10年、20年と使い続けることができます。今井さんはその「変化」について教えてくれました。

「長く使っていると、どうしても穂先が摩耗してきます。そうしたら、ハサミで先を少し切り揃えるんです」

「切ると穂にコシ(硬さ)が出てきます。そうしたら、最初は座敷用だったものを、次は玄関用に。さらにコシが強くなったら、最後は外掃き(庭用)に。そうやって家の中で役割を変えながら、最後まで使い切ることができるんです」

新品の時がピークで、あとは劣化していくだけのモノとは違い、使い手と共に時間を重ね、形を変えながら暮らしに寄り添い続ける。それは、愛車の走行距離が伸びるごとに愛着が湧いてくる感覚と、とてもよく似ています。

愛車のための「最高級のお手入れ用品」として

今回、Honda Cars 神奈川北の店頭で販売するのは、全長12センチほどの小ぶりな箒と45センチほどのサイズの荒神箒(こうじんぼうき)。実はこれ、自然の温もりや伝統の技を大切にされる方にこそ、ぜひ試していただきたい一品なのです。

  1. 静電気ゼロで、ホコリを呼ばない
    化学繊維のモップは便利ですが、摩擦で静電気を発生させ、逆にホコリを吸着させてしまうことがあります。天然素材の箒は静電気が起きないため、ダッシュボードやメーター周りのホコリを「払う」のに最適です。
  2. デリケートな素材にこそ優しい
    最近のクルマは、内装にピアノブラック調のパネルや本革など、繊細な素材が使われています。ウエットティッシュで拭くと跡が残ったり、成分が合わなかったりする場合も。中津箒なら、柔らかい穂先で優しく掃き出すことができます。
  3. 隙間のゴミを逃さない
    シートの縫い目や、シフトレバー周りの細かい隙間の掃除にも最適。掃除機では吸い取りきれない場所のゴミを、しなやかな穂先がかき出してくれます。

「弊社のつくり手(職人)の中にも、自分の車用に一本置いている人間が多いんです」と今井さん。プロが認める使い心地を、ぜひあなたの愛車でも体感してください。

掃除は「作業」ではなく、心を整える「儀式」

インタビューの最後、今井さんは「掃除」という行為そのものについて、興味深い話をしてくれました。

「日本人は、掃除をすることで『気持ちいい』とか『場が清まる』と感じるDNAを持っている気がします。掃除機でゴミを吸って終わり、ではなく、箒で掃くという所作を通じて、自分の心も整っていく。掃除が、暮らしを豊かにするきっかけになればいいなと思っています」

慌ただしい日々の中で、ほんの数分、箒を手に取り、無心で車内や部屋を掃く。その静かな時間は、現代人にとって何よりの贅沢かもしれません。

Honda Cars 神奈川北は、単に移動手段としてのクルマを売るだけの場所ではありません。クルマを通じて、お客様の人生を豊かにするお手伝いをしたい。「モノを大切にする心」や「心地よい時間」を共有したい。この中津箒が、お客様の暮らしに新しい風を吹き込むことを願っています。

ぜひ一度、ショールームでその「手仕事の美しさ」に触れてみてください。直感で「いいな」と感じたら、それはあなたと中津箒との、長い付き合いの始まりかもしれません。

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